羽前桜川


■商品詳細

町内唯一の酒蔵、野沢酒造が手がける羽前桜川。約300年の歴史の中で培われた知恵と技術が、小国町で長年親しまれる所以となっています。すっきりした飲み口の後にはほのかな甘さ。くどくなく、お料理の味を邪魔しません。

季節ごとの頒布酒からアイディアをもとに造られる多様な酒の種類は、常時20種以上。お手頃な毎日の晩酌用から純米大吟醸まで、ぜひお気に入りの一本をお試しください。

金額 税込1,080円~
商品名 日本酒
内容量 720ml/1800ml
原材料名 

米、米麹

保存方法 直射日光や高温多湿を避けて保存してください
生産者 野沢酒造

■酒蔵について

 

取材:早稲田大学 小形未穂 (2017年9月)

『桜川の飲みやすさに迫る』

 

小国町で長年愛されてきた地酒「羽前桜川」。その魅力とはいったい何なのか。

 

 

羽前桜川を一口飲むと、おそらく多くの人がこう感じるであろう、何か違う。とにかく飲みやすい。口に入れた瞬間、そして、羽前桜川が喉を通る瞬間、穏やかで、優しい味がする。

 

羽前桜川の蔵元は、約300年前から13代にわたって小国町で酒造りをしている野沢酒造。

その、一番のこだわりは麹づくりだという。良質な麹は酒造りの要。麹は酒の味を大きく左右する。麹菌を上手く繁殖させるためには、綿密な温度管理が重要であるため、蔵人たちは夜も2時間おきに麹室に足を運び、我が子のように麹の様子を見守る。


麹づくりに特化したこだわりの麹室。

麹に加え、羽前桜川の優しい味を創り出しているのが昔ながらの「山形酵母」だ。この酵母を使うことで、香りでは誤魔化さない、本来の味を楽しみつつ気軽に飲めるような酒になるという。そのため、香りを楽しむ香気性酵母が増えているなか、野沢酒造では敢えて昔ながらの酵母を使用している。

 

しかし、この味の秘密はそれだけじゃない。

『酒造りに一番必要なのは人間だ』

 

こう語るのは、野沢酒造社長の野沢重徳さん。酒造りとは、杜氏と蔵人チーム一丸となっておこなう酒との真っ向勝負。そして彼らを率いる社長。多くを手作業でおこなう酒造りで、造る人が変われば味も変わる。つまり、蔵人の純朴さと、社長の穏やかな人間性が羽前桜川には表れている。

酒造りを熱く語る野沢社長。

『地酒・桜川をつくるということ』

 

長年愛されている羽前桜川だが、実はそのもととなる酒米は長い間小国で生産されていなかった。そんな中、去年から小国での酒米生産を始めたのが井上昌樹さんだ。「自分で作った日本酒を飲みたい」という想いもあり、地元での酒米づくりに挑戦した。しかし、そもそも酒蔵からのオファーあってこその酒米であることに加え、酒米の品種の一つである美山錦は病気に弱く倒れやすいため、誰でも作れるわけではない。

 

まさに「俺にしか作れない」、小国米での羽前桜川。井上さんは嬉しそうに語る。貴重な酒蔵が残るこの町で、酒米を通じて「文化」の一つに関われている。自分が作った酒米に様々な人達が関わり、羽前桜川という目に見えるモノが出来ることが嬉しいのだと。

どんなお酒になるのかな♪

そんな羽前桜川を取り扱っているお店の一つが、昭和初めから続く舘商店(たてしょうてん)という地元の酒屋だ。

「地元のお酒なのだから、みんなで将来も遺していこう」と、日々お客さんと接している。ぜひ一度オススメの羽前桜川を聞いてみてほしい。豊富な知識で答えてくれるはずだ。

そこで店主さんに羽前桜川の良さを聞いてみた。答えはこうだった。

 

「羽前桜川は個性を主張しない、優しい酒です」

 

この一言に、羽前桜川に魅せられた人達の様々な努力と想いが集約されている気がした。

■酒米農家について

 

取材:早稲田大学 山口南 (2017年9月)

小国を代表する日本酒、羽前桜川。しかし、この桜川の原料となる酒米は小国町では栽培が難しく、これまでは町外で生産されたものだった。

井上昌樹さん(41)は、現在小国町で酒米栽培に挑戦する唯一の農業者である、酒米を含む水稲と切り花の栽培に取り組んでおり、そのすべてにおいて農薬に頼らない有機農業を実践している。

 

「酒蔵は今では、廃業してしまっているところも多くて貴重なもの。そこに携われることは名誉ですね。これは俺が作った米でできた酒だと自信を持って薦められる」

 

筆者の拙い問いかけを丁寧に聴き、ひとつひとつ時間をかけて応えてくれた井上さん。彼の語ったこだわり、信念、そして人生観から、農と町の未来に向き合う真摯な姿勢を垣間見た。

写真:酒蔵・野沢酒造に提供する酒米「出羽の里」の水田

井上さんは小国町で生まれ育ち、大学で5年間にわたって農学を学んだのちに小国町に戻り実家を継いで農業を始めた。学生時代にはアメリカやヨーロッパ諸国を旅して海外の農に触れ、日本の農との違いに衝撃を受けた。

町を飛び出し「外」の世界を目の当たりにした経験は、今の井上さんに息づいている。小国町から遠く離れた大阪や九州に米を、東京に切り花を出荷し、県外の農家と連携し、時には海外にも目を向ける。

 

「町の中だけで農業をやっていると比較対象がないんです。土と向かい合う仕事だから、孤立しがち。でもそれじゃダメなんですよね。広い視野がなければ、先のことは考えられない。新しいことをやるのは、続けていくためです」

写真:葉牡丹の苗

井上さんが営む有機農業は、容易なものではない。安全なものを作ろとすればするほど、そのぶん手間もコストもかかる。それでも有機農法を貫くのには、理由があった。

 

「農薬を使うと、川のホタルがいなくなる。でも子どもができて、自分の子どもにホタルを見せたいなあ、って」

 

「農家にとっては田んぼが職場みたいなものです。だから、職場環境を良くしたい。その先に、人が住みやすい町とか、子どもたちの未来とか、そういうものがあって。そのために安全なものをつくる」

 

自分だけのためではなく、町、農業、ひいては日本の未来のために、井上さんはよりよいものをつくろうとしていた。彼の仕事は、10年後20年後の小国町を切り拓く力となるだろう。小国の名酒・羽前桜川の源にあるのは小国を愛するまっすぐな想いだった。

写真:花を栽培するビニールハウスにて、井上さんと(写真中央)