「鉄砲で遊ぶ」そう言い放つ男の、小玉川での暮らし

取材:早稲田大学 吉本理駆 (2017年9月)

 

 目を合わせてくれない、シャイな男だった。横山隆蔵さん、54歳。

 小学校4年生から高校生のころまで所沢に住んでいた横山さんは、荻窪の日本料理屋で3年間料理人として働いた後、民宿奥川入の経営を始めた。

 

 一体何故、民宿なのか。所沢にいた頃、夏休みなどを利用して小国に行っていた横山さんは、同級生にこう言われる。

 

「いいよな、お前は田舎があって」

 

 そんなことを言われているうちに、彼の中に、こんな考えが生まれる。

 

「都会の人たちの、田舎になればいいんでないの?」

 

 これが、彼が民宿を始める原点だった。料理人になった理由についても、「民宿のための日本料理屋だ」と断言している。

素料理人の横山さんが腕によりをかけた朝食。山菜漬けが絶品だった

「農家で金を使って、民宿で稼いで、鉄砲で遊ぶ」

 

 ニヤニヤしながら言い放つ横山さんだったが、経緯を聞けば、その姿勢がいたって真剣だったとわかる。私が、「『遊ぶ』ってどういうことですか?」と尋ねると、彼は「『遊ぶ』は『遊ぶ』だ」と言いながら、「遊ぶ」の一言ではとうてい収まらない、彼なりのマタギ観を語ってくれた。

 

 

「俺がやってるのは、食べるための鉄砲じゃない、でも、獲ったものは食べる」

 

「鉄砲ってのは、命を奪う行為だろ?だから、次に繋げなきゃいけない。奪うだけなら、殺人鬼と同じだ」

 

 

 「鉄砲で遊ぶ」と言い放った男が、取材開始から2時間以上経って、ようやく語ってくれたマタギ観だった。

 

 訪れる客と、一晩で旧知の仲のようになってしまう彼。私たちが訪れた日に泊まっていた客は、親しみを込めて、彼を「こんなの」と呼んでいた。

左:横山さんを「こんなの」と呼ぶお客さん。

右:父、隆蔵さんを陰で支える息子さん。背中で語る男だ。