作り続ける理由は、 美味しいと言ってくれる人がいるから

年間生産数が限られた希少な鷄「やまがた地鶏」。
開発からわずか数十年ながら、全国から高い評価をいただいているやまがた地鶏を恵み豊かな森の中で育てるのが、合同会社おぐに地鶏フーズ代表社員の佐藤和美さんです。

増えるファンの気持ちに答える生産を

和美さんがやまがた地鶏生産を始めたのは2008年、春だけ使用する育苗ハウスの有効活用のため、地鶏生産を勧められました。

まずはやってみるかと、30羽から生産を開始しました。 

生産開始当初からやまがた地鶏の評判は上々で、地元のラーメン屋「福龍軒」さんからラーメンに使う鶏ガラとチャーシューに、ぜひ地鶏を使いたいとの声がかかります。
しかし、その頃和美さんのところで生産していた鶏の数ではリクエストに答えられません。そのため、飼育数を400羽以上に増やします。

 

【福龍軒さんのやまがた地鶏おぐにラーメン】
さっぱりとしたテイストなのに濃厚な鶏ガラを感じることができ、
地鶏チャーシューはしっかりとした食感で食べ応えバツグン

 

そこから和美さんへの問い合わせが殺到、小国町内だけでなく、仙台、東京の焼肉店からも注文が入ります。その注文に応えるため、養鶏場の増築、飼育数も1200羽まで拡大します。

「ブランド地鶏だから、下手なエサでは育てられない。エサにもこだわり、飼育条件もきちんと決まっていて、簡単な仕事ではない。でもみんなが「美味しい」と言ってくれるから、これからも作り続けたい」和美さんは話します。

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求められる美味しさの秘訣

年間生産数が限られているやまがた地鶏、なんと山形県内での生産者は17社のみ。

その中でもおぐに地鶏フーズは2番目に多い生産量を誇ります。その理由は和美さんの想いに加え、全国のファンの声に支えられています。 

実際に熊本で運営するECサイトからのスカウトが来たり、新宿でお店を出せば、瞬く間に完売となります。

みなさん口を揃えて「冷凍肉なのにこんなに美味しいのははじめて」と絶賛します。

重ねられた研究や徹底した飼育方法はもちろんですが、おぐに地鶏フーズの鶏には、小国ならではの美味しさの秘訣があります。

小国町は、朝日連峰、飯豊連峰という雄大な山並みに包まれています。また、冬には町全体を白い森と表現できるほどの雪が積もります。壮大な山並みから得られる澄んだ空気と清らかな雪解け水を飲み、その水が育んだ農作物などを餌として育てられる。くさみやクセのないやまがた地鶏の中でも、小国町育ちの地鶏はとりわけ上品な肉質と言われるのは、そんな自然に抱かれながら育った所以なのです。

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マタギが語る自然の大切さ

小国町での地鶏生産は自然と共存しながらの生産です。
自然は私たちに恵みを与えてくれる存在ですが、自然は人間が敵わない存在のひとつでもあります。 

「まだ私が140羽程の地鶏を飼育していた冬、半数の70羽の地鶏を熊に食べられてしまったことがあったんです。そこで命の尊さを感じました。」

仕事と並行して地元の仲間達と「マタギ」として活動している和美さん。マタギは狩猟のイメージが強いかもしれませんが、決してむやみやたらに生き物の命を奪っているわけではありません。マタギとは、山々から自然の恵みをいただく者たち。 

都会に生きていると、町と山との距離が遠く、別のもののように感じる人が多いと思います。ですが、山は動物だけのものではなく、昔から人間も自然の一部、人間が山に入るからこそ、自然が保たれるのです。山に生きる動物、人々、両方によってほどよい暮らしを続けていくため、山からの恵みを常に平等に分け合います。

おぐに地鶏フーズのやまがた地鶏はそんな山の恵みそのものをいただくものなのです。

やまがた地鶏の知名度向上のために

おぐに地鶏フーズのお客様方はもちろん、美味しさでファンになる方も多いですが、和美さんの想いに共鳴しファンになる方もいらっしゃいます。その証拠に2020年に実施したクラウドファウンディングでは工場の加工場増築のために募集した30万円を上回る40万円の融資が集まりました。

加工場を作った理由を和美さんはこう語ります。

「鶏肉をもっと一般の人にも食べてもらいたい、そのために食べやすい商品に加工をして展開できないかと思ったんです。丹精込めて育ててきた鶏の命が、食べてくださる皆さまの心を元気にし、少しでも笑顔が生まれる食卓に貢献できれば、と思っています。
そして、召し上がってくださる皆さまが小国の山を感じ、鶏たちを想い、それぞれの日常へのエネルギーにしていただければこれ以上、嬉しいことはありません。」

【サラダチキン(塩こうじ味)】
旨味が強く、歯ごたえの良いむね肉を使ったサラダチキンは、とてもヘルシーで、サラダや酒のおつまみにピッタリ

名古屋コーチンや薩摩地鶏等の地鶏と比べると、まだまだ知名度が劣るやまがた地鶏を生産者の想いとともに、もっと広く知ってほしい。

古くから続くマタギの文化に学び、環境に配慮した持続可能な暮らしと、分かち合いながら生きていくことの大切さを感じていただけるような商品をお届けしようと、鶏肉や加工食品を持って各地へと出向きます。

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米沢牛を超えるブランドに

やまがた地鶏の美味しさとマタギの想いをより広く知っていただけるように和美さんの取り組みは続きます。

町内の学校給食や病院食への提供を行い、小国町の土地で生まれた地鶏を地元の皆さんに還元。その味で育った子供等が今、やまがた地鶏を使ったメンチカツを開発。

 

【おぐに地鶏メンチカツ】
小国高校と山形大学の学生が地元小国の名産品を使用した商品を開発
和美さんのやまがた地鶏と小国産の雑穀「たかきび」を使用したメンチカツはジューシーなのに体にも良い一品
小国町道の駅にて販売中!
 

共に生きる山々からの恵みを地元の仲間達と一緒に広げていきたい。

やまがた地鶏を米沢牛を超えるブランドにするために、これからも和美さんの挑戦は続きます。

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取材:地域おこし協力隊 西村 美祈